東京地方裁判所 昭和52年(タ)592号 判決
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【判旨】
四そこで、原・被告間の親子関係の存否についての準拠法について検討する。
嫡出親子関係の存否については、法例一七条により子の出生当時における母の夫、すなわち原告の本国法によりこれを定めるべきものである。ところで、周知のごとく、被告の出生当時、朝鮮半島は、大韓民国と北朝鮮いわゆる朝鮮民主主義人民共和国とによつてそれぞれその南部と北部とが別個に支配されていたのであるが、前記認定の事実関係、特に、原告の出生は、被告出生の当時も現在も大韓民国が支配している領域内の済州市においてであり、原告はその後日本本土に居住滞在するに至つた者であつて、その出生以来今日まで右済州市に本籍を有していること、更に原告は、かつては国籍を「朝鮮」として外国人登録をしていたが、現在は大韓民国の国籍を有し、その旨の外国人登録をしていること等の事情を総合すると、原告の国際私法上のいわゆる本国法は、現在はもとより被告の出生当時においても、大韓民国であると認めるのを相当とすべく、したがつて、前記準拠法としては、大韓民国民法の適用をみるものである、ところで、大韓民国民法八四四条によると妻が婚姻中に胞胎(懐胎)した子は夫の子と推定されるが、同条による嫡出子の父性推定はその父の子として懐胎されることが可能であることを前提とするものであり、それが外観上も明白に不可能な場合等には、右推定は及ぼないと解されている。したがつてまた、かかる場合に親子関係の存否を争うには、必ずしも同法八四六条の親生(嫡出)否認の訴えによる必要はなく、親子関係不存在確認の訴えによつてこれをなし得るものと解されているのである。
(仙田富士夫 大橋弘 滝澤雄次)